サッカー

【初級者向け解説】日本流ゾーンディフェンスとは? 短所を長所で補う独自のアレンジ を読む

 

 

どうも、ゼロファジ(https://twitter.com/ZeroFagi)です!

 

今回はfootballistaさんの、

 

「 日本流ゾーンディフェンスとは? 短所を長所で補う独自のアレンジ 前編 」

 

という記事の内容を初級者むけにさらにわかりやすく【解説のカイセツ】をしていきたいと思います。

 

 

【解説のカイセツ】とは記事や動画の中のサッカー解説者の解説を、さらに初級者むけにわかりやすくカイセツすること

 

 

 

FC東京のディエゴ・オリベイラの使い方について

 

 

――FC東京のファンです。今シーズン良い時は良いんですけど、肝心なところで失点を食らったり敗戦したりしています。いつも気になるのですが、西部さんから見てFC東京のどこが良くて、どこが良くないのかお聞かせください。

西部「そこまで毎試合FC東京を追っていないのであまり深くは答えられないですけど、今シーズンで言えば印象は一緒です。フォーメーション的には[4-4-2]で『コンパクトにインテンシティ高く戦え』という長谷川健太さんのカラーがよく出ているチームだなと思いました。そんなに凄いストロングポイントもない代わりに、ウィークポイントもあまりないという印象ですね。2トップが強力で、特にディエゴ・オリベイラが凄いので。スペースを持っていれば個人技で勝負できますから、それを担保するためにDFをしっかりさせるという。逆にあまり高い位置で取ろうというよりは、スペースを持ったまま取れた方がいいので、そのあたりは考えてデザインしているんだろうなという気はします。ただ、そういったサッカーって言ってみれば手堅いサッカーなんで、崩れもしない代わりに、そんなに点も取れない。そして、重要なとこで失点してしまっているということに関してはわかりません(笑)。おそらく、CBに何らかの問題があるのかなという勝手な想像ですが」

 

 

西部さんによれば、ディエゴ・オリベイラ選手は個人技がすごくてスペースがあったほうが生きる選手ということですね。この「逆にあまり高い位置でとろうというよりは、スペースをもったまま取れたほうがいい」とはどういうことでしょう?

 

 

 

 

FC東京の左SHの選手が相手チームから”高い位置でボールをとった”場合を図にしてみました。
真ん中にディエゴ・オリベイラ選手がいますが、ここから攻撃に出ていくとき彼の前方にはあまりスペースがありません。高い位置でボールが取れれば相手のゴールが近いですから大きなチャンスになりますが、そうそう簡単にはボールを奪うことはできません。

 

 

 

 

今度は反対にFC東京の選手が低い位置でボールをとった場合を図にしてみました。
このときディエゴ・オリベイラ選手の前には広大なスペースがあります。このような場合、オリベイラ選手の強みは遺憾なく発揮されることでしょう。こういう状態が、”スペースを持ったまま取れる”状態です。オリベイラ選手の強みを生かすためには、スペースを持ってしっかりボールを奪う力が必要ですから、”それを担保するためにDF(守備)をしっかりさせる”ということですね。

 

 

ロシアW杯と4-4-2

 

 

西部「W杯に関して言うと、ハイプレスをして前からボールを取るということはかなり難しかったですよ。行ったらかわされるということの方が多かったので。それこそポジショナルプレーの概念と言いますか、立ち位置をずらして、有利なボール回しをするということがわりと浸透しているんだなと思いました。だから、むやみに取りに行っても取れないので、もう少し取る場所を決めて。引くチームは思い切って引きますし、中盤くらいで止めるチームは止めるんですけど、あまり前からプレスしようということがなくなったので、いったんセットして守備に入るチームが多かったように思います。その時に[4-4-2]って一番ゾーンが埋めやすいんですよね。後ろも重くならないし、前がかりにもなりにくいので。守備を考えれば、けっこうやりやすいし、合理的なシステムなので[4-4-2]が多かったのかなという印象です」

 

”(攻撃側が)立ち位置をずらして、有利なボール回しをするということが浸透した”ために、”ハイプレスをして前からボールを取るということが難しかった”。その結果、”あまり前からプレスしようということがなくなったので、いったんセットして守備に入るチームが多かった”ということですが、ここをカイセツします。

 

 

 

 

赤い守備側のチームが青の攻撃側のチームに高い位置から守備をするハイプレスをかけているところを図にしてみました。このときボールを回していく青の攻撃側の選手と、赤の守備側の選手の人数が同じになっていて青のボール回しはかなりやりにくい形になっています。どこへパスが出ても赤のプレスが飛んできますからね。

 

 

 

次に、青の攻撃側のチームの”立ち位置をずらして、有利なボール回しができる”形に変化させてみました。
このように選手の立つ場所が変わると、守備側がハイプレスをかけても追いかけきれないポイントがでてきます。こうなると立場が逆転して、守備側の努力むなしく攻撃側が有利になってしまう場合が増えます。こういうことになると困るので、いったんセットして守備に入るチームが多かったわけですね。

 

 

引いて守るのには4-4-2がどうしてゾーンを埋めやすいか?について見ていきましょう。

 

 

 

青のチームが4-4-2で引いて守っている図です。FWの2トップこそ2枚で守備力は低いですが、その後ろの4枚4枚で横幅をバランスよくカバーできていることがわかります。では、違う守備陣形ではどうなるのか?

 

 

 

この5-2-3の守備陣形だと、一番後ろは5枚で前が3枚、真ん中に2枚という形になるので中盤から後ろにスペースができてくることがわかります。サッカーのグラウンドの横幅をカバーするのに最低限必要な枚数は4枚といわれているので、基本4枚より少ないところはそのままだと横幅をカバーしきれないエリアになってしまいます。4-4-2だと中盤から後ろでそういったリスクがなく、守備的過ぎることもないのでバランスがいいということですね。

 

 

日本に根付いていない4-4-2ゾーンディフェンス

 

 

浅野「Jリーグでも[4-4-2]がメインになってくるんじゃないかという予感はありますか?」


西部
「ありますね。というかすでに何年間か前からメインになっているような気はしますね。ただ、[4-4-2]のゾーンでしっかり守るというのは、実はあまり日本に根付いてないです。ハリルホジッチが代表監督だった時に、ロープで繋いでプレスの練習とかしてたじゃないですか」


浅野
「確かにありましたね、そういうの」


西部
距離感を確かめるために『一人が行ったら、一人がカバーリング、スライドしていきますよ』というのをロープでみんなを繋いで、遅れないようにというのをやっていたんですよ。それって、ゾーンの初期のアリーゴ・サッキさんがミランでやった一番最初の練習です(笑)。それを代表チームでやらざるを得ないというのはある意味そういう状況なんだろうなとは思います」

 

 

”一人が行ったら、一人がカバーリング、スライドしていきますよ”というのはどういうことか?

 

 

青が4-4-2で守っているところに、相手の右のアタッカーが侵入してきたところを図にしました。このとき最寄の青の選手が赤の選手にプレスに出て行きます。”一人が行く”場面ですね。

 

 

一人が行ったら、その人が空けたスペースへ一人がカバーリングするために移動します。全体としてみると、4名が横にズルっとズレていく形になるんですがこういうことを横にスライドするといいます。こういったことは味方と連動して守る意識とか、スペースを守る意識が必要なんですが、ハリルホジッチ監督がこういうとても初歩的なトレーニングをエリートぞろいのはずの日本代表チームであえてやらなければならなかった、と。つまり日本の選手のそういう方面の熟練度がかなり低いということの証明でもあったということですね。

 

 

スウェーデンやアイスランドのゾーンディフェンスとは?

 

 

西部「ゾーンディフェンス自体はある程度は浸透しています。日本なりにはできています。ただ、ゾーンってスペースを守る守り方ですけど、すべてのスペースはカバーできないんですよ。重点的に埋めるスペースと捨てるスペースがある。で、捨てるスペースがどこかっていうと、例えばスウェーデンとかアイスランドが典型なんですけど、SBがオーバーラップして上がって来ている場面でサイドは守らないんです。サイドの奥を切る立ち位置はしますけど、サイドにパスを出されないようにする場所には立っていません。サイドには出されてもいいという考え方です。出されてもスライドすれば間に合う、真ん中にクロスを入れられても跳ね返せばいいっていう考え方なんです。

4バックは基本的にペナルティエリアの幅です。サイドでは中を切って、奧を使われないようにします。また、サイドの選手は極力飛び込まないです。飛び込むと、抜かれた時にCBがつり出されるので。サイドから上げられるのは最悪かまわないっていう考え方です。」

 

スウェーデンやアイスランドのゾーンディフェンスでは、”基本的にペナルティエリアの幅”に守備陣系をおさめ、”サイドへ出されてもいい”構えで守る。”サイドに出されてもスライドするか、真ん中にクロスを入れられても跳ね返せばいい”ということでした。

 

 

 

スウェーデンやアイスランドの守り方を図にしてみます。4-4-2でペナルティエリアの幅に守備陣系をおさめて、中央に相手を入れさせないように守ります。すると、図のようにサイドへとボールを展開されるのですが・・・

 

 

 

このようにズルっとサイドへ4人がずれてスライドして相手の前進を食い止めます。仮にこれで間に合わない場合、相手のサイドの選手にクロスボールをあげられてしまうことになります。

 

 

 

 

スウェーデンやアイスランドの場合はそういう時、中央の大型CBの空中戦で跳ね返せばOK!という考え方だ、と。

 

 

 

日本流のゾーンディフェンスとは?

 

 

西部「日本は(クロスを)上げられたら、フェライーニにやられちゃう可能性がありますから(笑)。日本はできれば上げさせたくない、という対応をしがちなんです。だからウイングの選手がサイドを何とかしてくれと、深くまで戻って来る。でも、いっぱい走らなきゃいけないのでそれはウイングの選手にとっては良くないです。FWも下がって来ないといけないというのもあります。ゾーンの原則から言えば、日本の守り方はあまり良い守り方ではない。けど、そこを運動量とかスピードでカバーしているので、実は日本は日本の守り方で成立はしています。」

 

 

日本の場合、クロスボールをあげられてしまったらそのまま高さでドーンと叩き込まれてしまう可能性があるのでできればクロスを上げさせたくない、という対応をしがちということでした。

 

 

 

 

そのために攻撃の選手がクロスを上げさせまいと深い位置まで戻って守備をする、と。しかし、守備で使ったスタミナは攻撃に影を落とすのでそれもまたあまり良くない。しかし、仕方ないというお話ですね。

 

 

ゾーンディフェンスが成立する基本的な前提は、中央の守備陣がハイボールを跳ね返す力があること。しかし、日本にはそれがないのでスピード・スタミナでサイドを封鎖することで補う形になっている、と。本来の原則的なゾーンディフェンスからすると、日本のやり方は変則的だけど、個性を生かして成立させているということですね。

 

 

 

ハリルホジッチ監督のマンツーマン気味の守備

 

 

浅野ハリルホジッチはマンツーマン気味の守備をずっとやっていたじゃないですか。それはなぜなんでしょうか?」


西部
「それはもうちょっと前の中盤での話ですね。ボールに食いついちゃうんですよ、相手にやらせたくないという気持ちが強過ぎて。どこを切って、どこはやらせてもいい、というのがあまりないんですよ、日本の場合は。みんな、やらせたくないからボールに突っ込んじゃう。そうすると相手をフリーにしてしまう。突っ込まなくていいんですよ。危ないゾーンだけ抑えちゃえばいいんですけど、そのあたりの加減がなかなか難しいので。だったら、もう行っちゃっていいから人数を増やそうということで[4-5-1]にしてましたよね。ほぼマンツーマンに近いような形でやった方が破綻がないだろう、という考え方だと思います」

 

 

”ハリルホジッチ監督が採用していたマンツーマン気味の守備は中盤の話”で、”日本の選手はボールを持っている相手に突っ込んでしまうので、人数を増やしてマンツーマンに近い形でやらせたほうがいい”、と考えていたのでは?ということでした。

 

 

”日本の選手はボールを持っている相手に突っ込んでしまう”とはどういうことか?

 

 

 

 

青が日本代表、赤が攻撃している相手チーム。
赤のチームのボールホルダー(ボールを持っている選手)に日本の中盤が突っ込んでいったところを図にしてみました。

 

 

赤のMFにやらせまいとつっこんだものの、パスを2本つながれて守備を突破され”フリーな選手にボールが渡ってしまいました”。このように相手に食いついていかなくとも、パスだけ出させないようにして外に逃がすとかやりようはほかにもあるけれどそういう守備ができない。相手に食いついていくとスペースを空けてしまってそこを別の選手に活用されやすくなってしまいます。ちょっとした守備の穴ができちゃうんですね。(黒丸のスペースが穴)

 

 

そこで、”もう行っちゃっていいから、人数を増やそうということで[4-5-1]にしてましたよね”、という。

 

 

 

 

日本の布陣が4-5-1の場合、中央にMFが3人いることになります。先ほどと相手の位置関係は同じですが、日本のMFが2人相手の選手に”食いついた”にもかかわらず、背後にもう一人日本の選手がいるので守備の穴は空きにくくなりました。このように日本の選手が相手に食いつくことを前提にして、それでも破綻なく守れるように中盤の人数を増やしていたのがハリルホジッチ監督の打ち手だったということですね。

 

 

 

【解説のカイセツ】いかがだったでしょうか?

 

 

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それではまた。

 

 

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